正答は(1)
元年度の問題の中でも個人的に良問と思う問題、その分難しいとも感じる
リスクコミュニケーション的には調査手法とかどうでもよくて、形態に応じた毒性まで踏み込んで説得・説明する力が必要
実務をしててもなかなか勉強する機会がないだけに、知識があると他の人にドヤれるともいえる
まず物質A
イタイイタイ病ということからカドミウムということが分かる
1955年のイタイイタイ病(カドミ)、1956年の水俣病(有機水銀)を契機として、工業排水規制(のちの水濁法)→農用地土壌汚染防止→廃掃法→土対法制定の流れがあり、調査技術者試験も最後に関連法案の問題が出るという繋がり
Aがカドミということで、選択肢的には(1)か(2)という2択に
難しいと感じたのは、物質Bがセレンか鉛か??というところ
両物質ともに必須元素といえば必須元素だし、不足しても過剰でもよろしくない
1日の推奨摂取量としては
セレン 30μg/日 前後
鉛 1mg/日 前後
一方で毒性発現量的には
セレン 80μg~460μg/日 前後
鉛自体はヒトでの過剰症は通常ない(うまく排出できる)
※ちなみに1日の耐用量は10mgらしいのだが、これは10mg飲み続けでも健康被害がなかったための設定らしい
上記の数値を見ると、摂取量と毒性発現量の相対的な比率から、物質Bはセレンと分かる
でもガイドラインを読んでもここまで書いてないのでどうするか
上記にも触れたような、農用地土壌汚染防止と土対法の繋がりに着眼するのが理解のポイントになる
前者では銅が規制されているが、後者には銅の規制は無し
これは前者での規制理由が『農作物の生育被害になるから』ということ
関連法規間の規制物質の違いとその理由まで考えると答えが導かれる、良い問題